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   ~女性のためだけのこころとからだのカウンセリングルーム~    女性臨床鍼灸 ならまち月燈

人間は、治るようにできている

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人間は治るようにできている 福田稔


なぜ、自律神経と免疫の関係が大事なのか

 

福田先生。福田大先生。2014年に亡くなられました。

 

膨大な著作を残されているのに、Wikipediaなどの記述はありません。

 

盟友であった安保徹先生も一昨年お亡くなりになりました。

 

お二人は自律神経免疫療法研究会を設立され、「福田ー安保理論」をもとに薬や医師に安易に頼らず、免疫的発想から病の根源を理解すれば、がんもアレルギー疾患も炎症も高血圧も、すべて慢性疾患は快方に向かうんだということを主張されました。

 

お二人の共著や対談本も多々あるのですが、福田先生は別に2013年に気血免疫療法会を立ち上げ、この著作は気血免疫療法会理事長としてのものです。

 

『自律神経免疫療法』=『全身刺絡療法』であって、

刺絡とは、手足の指先にあるツボや頭頂部にあるツボに鍼を刺し、わずかに出血させるという東洋医学的手法なのですが、横浜の浅見医師の主宰する勉強会で、その効果をまのあたりにされた先生は、すぐにそれを取り入れられ、洗練されていかれました。

 

はじめは、注射針にはじまり、レーザーや電子針、磁気針という出血させない針に移行されたのですが、注射針を刺した方がすっきりするという患者さんの声から、注射針と磁気針を併用し、お灸も取り入れられるようになりました。

 

ところが、全国で行われていた『自律神経免疫療法』の中には、薬を併用したり、そもそもの先生の臨床理論とは離れた治療がなされているような報告があり、福田先生は、ご自分が打ちたてた『自律神経免疫療法』の名を譲られて、新たに『気血免疫療法』と称されたのでした。

 

40代以上の方なら記憶に残っている方もあるかもしれませんが、一時期流行した「爪もみ療法」も先生のご発案ですが、先生の治療法は常に進化していました。

 

今は長女の福田理恵先生が、東京目白の鍼灸院で『気血免疫療法』による治療と、後進の育成を引き継いでいらっしゃいます。

 

私も一度だけ治療を受けたことがあるのですが、非常にパワフルな迫力に満ちた治療でした。

 

その日はホテルのベッドに横たわったきり、起き上がれないほどでしたが、次の日の爽快な目覚めは忘れられません。

 

 

先生はもともとご自身が腕のいい外科医であられたのに、対処療法の薬や手術に批判的で、メスを捨て、磁気針というご自身が開発された鍼一本で患者さんの治療をなさっていました。

 

当然、西洋医学会や製薬会社からは反発を受けたでしょう。

 

今、目次を眺めていても、激烈な西洋医学への批判の言葉が並びます。

 

医者が病気を治せないのは、医療のあり方が間違っているからだ!

 

人間を診ない「パソコン医者」には病気を治せない!

 

ホルモン療法は免疫系に直接的にダメージを与える!

 

難病は薬を乱用する医療が作った「医原病」だ!

 

医者は医療の原点である「手当て」を忘れるな!

 

というような、全て!マークつきです。

お医者様だったから書けることですし、お医者様だからこそのジレンマもあったのだと思います。

 

 

なぜ、自分で治せる人と治せない人がいるのか

 

一方で、患者にも厳しい言葉が並びます。

 

「病は気から」というが、病気を治すのも本人の気、すなわち「自分で病気を治す」という気力である。というのも、病気は自分が作り出したものだからこそ、自分の力で治すことができるし、どんな治療を選んだとしても、最終的には自分で治していくしかない。

 

 

病気を作るストレスも、元をたどればおそらくそうした魂のゆがみに行き着くはずであり、自分を大切にする、人間を大切にすることが病気を治すいちばんの近道といえる。

 

当時、先生の治療はテレビ放映されたこともあり、先生の病院には全国から患者さんが殺到していました。

 

ステロイドを希望するアトピー性皮膚炎の患者さんや、末期がんの患者さんなどわらをもつかむ気持ちで集まった人も多かったでしょう。

 

でも、先生に依存して治してもらおうと、患者さんがもたれかかることを先生は何度も戒められています。

 

自分が治ろうとする強い心をもって、自分自身で闘わなければだめだと。

 

それでも頼って来られる患者さんに、人情家の先生はNOといえず、命を削ってしまわれたような気がします。

臨床家として、治療家として、本当に尊敬すべきお医者様でした。

 

 

人間は治るようにできている

 

私が今、施術しながら常に思うことはこの言葉です。

 

私が治すのではない、患者さんが治っていかれるそのお手伝いをさせて頂いているだけだと。

 

体温を上げる

血流をよくする

老廃物を出す

 

氣、血、水の滞りは万病の元であるという元々の東洋医学の思想と相まって、ならまち月燈の施療も、この三つに尽きます。

 

患者さんの免疫力、自己治癒力にスイッチをいれること、それが全てです。

 

「それでも地球は動いている」とつぶやいたガリレオガリレイのように、

 

「それでも人間は治るようにできてる」とつぶやいて福田先生は、去っていかれたように思えて、その後ろ姿は私の憧れであり、永遠の目標です。